| 標高3776メートルの富士山は、高さはもちろん、美しさでも日本一の山である。古くから霊峰として畏敬され、伝説上では、推古天皇(592〜628)の時代に聖徳太子が黒駒に乗って登頂したとか、文武天皇(697〜707)の時代には、伊豆大島に流罪となった役行者が、夜な夜な神通力で富士山に飛来して修行したなどと伝わる。山岳宗教としては、平安時代後期の久安五年(1149)、末代という上人が山頂に大日堂を創建したことによって本格的にはじまるという。江戸時代になると富士登山は一般の民衆にも広がりをみせ、富士講なる組織がいくつも作られ、富士山を登拝する講は現在に続いている。霊山には天狗がつきものだが、現在、富士山関係の神社(各浅間神社)ではあまり天狗の姿をみることはない。天狗探訪が楽しめるのは、五合目にある小御岳神社くらいだろうか。富士山には富士太郎もしくは陀羅尼坊なる天狗が宿っているといわれ、また小御岳正真坊なる天狗の名も伝わっている。天狗の研究家・故知切光歳氏によれば、富士山の天狗は南と北で縄張りがあり、南側が富士太郎、北側が小御岳正真坊の管轄になるそうである。 |
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